キミを抱く

店を出ると
空は紫色で薄暗くて
車道を走る車の
ヘッドライトが
行き過ぎて

家が近づくたびに
アスファルトの道
ザッザッと鳴らして歩く
私の足は
一歩一歩進むたび
確実に重くなる

肩にかけた
スクールバッグも
食い込んで
痛い気がしてくる

これじゃあ
家に居場所がない
中年サラリーマンみたいだ

「……疲れたな」

無意識の独り言に
苦笑いして
なんにだよ?
って訊いてみたくなる

今日という一日に?
学校という場所に?
なんてことない自分に?

問ううちに
顔をあげると
いろんな家が建ち並ぶ
小路の隙間から
自宅が見えた

キッチンの
小さな窓が開いていて
かすかな湯気と
灯りが漏れてる

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