白い吐息
先生─
最近、どこか遠くを見てるよね─
気になる人でもいるの?─
「真人」
「何?」
「子供できちゃった…」
「嘘?」
大きな目を更に大きく開いて固まる真人。
「嘘だよ」
琴はクスっと笑って固まりのとけない真人の隣に座った。
「えっ…マジ嘘?」
動揺する真人の肩に頭を乗せる琴。
「嘘だよ。ごめんね」
「ビックったぁ〜…」
胸を撫で下ろす真人。
「でも、ちゃんと避妊しなさいって、関口先生に言われちゃった」
「関口先生?!」
「あの先生、なんでもお見通しなのよね…」
「へぇ…」
真人は気のない返事。
「それと…これも関口先生から聞いたんだけど…」
急に真剣な目をして真人から離れる琴。
「何を?」
「森下先生、正月開けたら学校に復帰するって…」
「えっ!マジで?」
「まだ、来年の話だけどね」
琴の身体はかすかに震えていた。
「来年ったって、1週間くらいしかないじゃん」
震える琴を抱きよせる真人。
「…私は…平気だよ」
真人がいるし…
関口先生もいる…
「……」
真人は何も言わず、ガラステーブルを睨み付けていた。