白い吐息
『そーゆー問題じゃないし…』
『楽しみだな、夜』
『えっ…』
『花火だよ〜。何勘違いしたの?』
『してません!』
『花火は上から見ても丸いんだよ〜』
『それは分かりました!蒸し返さないで』
もっと…
もっと…
素直だったら良かったのに…
もっと…
弾けておけば良かった…
私はいつも
後悔ばかりだね…
ポケットで震え出した携帯に琴はドキッとした。
慌てて同じく震える手で携帯を取り出す琴。
着信は関口先生からだった。
「…もしもし」
「「もしもし!長谷川先生?!」」
「はい…」
「「良かったぁ、繋がって」」
「はい?」
「「はい?じゃないわよ。荷物置き去りにして行方くらますなんて、心配したんだから」」
「ごめんなさい…」
「「今何処に居るの?自宅じゃないんでしょ」」
「公園に居ます…自宅前の…」
鼻水を吸い上げる琴。
「「外なの!バカ!風邪ひいちゃうじゃない?!」」
関口先生の大声が携帯から漏れて響く。
「大丈夫です。滑り台の下が隠れ家みたいになってて風邪よけになるんで」
「「バカもーん!大丈夫じゃないじゃない」」