白い吐息

「幸いすぐに病院に搬送されて命は取り留めたけど…」

「けど?」

「なんか別人になったみたいだった…」

別人……?

「あの事件以来、真人は両親と少し距離を置いてるみたいなんです」

何で……?

「詳しいことはオレにも分からないけど、たまに何の連絡もなく学校休んだりするんですよね」

自殺未遂―

何かが気になる―

何故―

嫌な予感―



「屋上でする話じゃなかったですね。しかも昼飯時に」

戸部はしゃがんで琴に謝った。

「ん…ううん。」

琴は何も返す言葉がみつからず、ただ首を振った。

「でも、先生には話して置きたかったんです」

「えっ…?」

「真人、先生のこと好きって言ってたから」

「えっ…ええ!?」

あまりの急展開に思わず大声を発してしまった琴だった。

「オレ、真人が人のこと好きだって言うの初めて聞いたんです」

戸部は真剣な顔をして琴を見つめていた。
< 26 / 345 >

この作品をシェア

pagetop