なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?




「ヨウ、どこまであんたに頼っていいの?」




私は本音を話し始める。



「私今まで、なんでも自分で解決しなきゃって思ってたんだ。」


「だから人にどこまで頼っても許されるのかが、分かんない…」




ヨウは、黙って私の話を聞いてくれた。




素直になれない自分。


人を頼れない自分。




そんな自分が、本当は一番嫌いだった。








ヨウはしばらく黙ってたけど、少しの間を置いて口を開いた。




「なぁ、亜子?」


「お前、頼ることは悪いことだって思ってねぇ?」




ヨウは続ける。




「頼ることってさ、与えることだと俺は思ってる。俺も遠哉も夢乃も琢斗も、お前に頼られたら嬉しいんだ。」


「人を頼ることは悪いことじゃないよ。お前が思っているほど。」




ヨウは当たり前のようにそう言ったけど、私がそれまで固く閉ざしていた部分が、ゆっくりと開かれていくような




そんな感じがした。




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