なんで、みんな誰かの一番になれないんだろ?




「ありがと…」




照れ隠しをするように無愛想にそう返すと、




「可愛い子に頼られたら嬉しいのさ、男って。だからどんどん俺に頼れ、亜子!!」




また、いつもの胡散臭いヨウに逆戻り。




でもこれはあんたの優しさだって分かってたから、私は怒る気にもなれずただ笑って流すだけ。







「…俺にこれだけ話せたんだから、ちゃんと琢斗に気持ち伝えろよ。」




「…分かんない。なんで琢斗のこと好きになったんだろうとか、好きってなんだろうとか。誰が好きなのかも、分からなくなる時があるよ。」




また、本音。


なんで私、こいつにこんなに話してるんだろ。







「誰が好きかわかんないって、俺のことも好きなわけ?」




ヨウがそう、突拍子もない質問をしてくるから




「もちろん。」




当たり前のように私はそう返す。




ヨウのことも好き。


それは、友達としてだけど。










「じゃあさ…」




急に真面目な顔で、私を見つめてくるヨウ。




不覚にもドキっとさせられて、目が逸らせなくなる。




そして、こう言ったの。





















「琢斗やめて、俺と付き合えよ、亜子。」




そう、真剣な顔で。





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