幸福論
初めて入る雅斗くんの居る学校。
「どっから回る?」
「お腹空いた~。」
「じゃあ、光喜のクラス行こうよ。
たこ焼き屋さんしてるらしいから。」
沙穂ちゃんがバッグから何枚かの半券を取り出した。
「何、それ?」
「貰ってん、光喜の友達に。
愛子連れて来るんと引き換えに(笑)。」
「…、なんであたし?」
「あんたって、有名やから。
桜坂(おうさか)高校のお姫様やからね、あんたは。
光喜のクラスの男、あんたのこと見たいんやってよ。」
…ちょっと…、かなりそのネーミング気持ち悪い…。
「で、そのお姫様をゲットしたんが、二工のキングやねんから、そら有名やってね。」
得意気に話す裕子ちゃんに私は気付かれないように小さく溜息を吐いた。
二工のキング…って、寒い…。
きっとそんな呼ばれ方されてるの雅斗君が知ったら、とびきり冷たい瞳でばっさりだよね…。
「愛子…、顔ひきつってるし(笑)。」
莉子ちゃんが私のほっぺをツンツンして笑った。