幸福論

引力





放課後、私の机の前に来た裕子ちゃんが、「昼休憩に食べたクッキー残ってへん?」と、唐突に話しかけてきた。





「あるよ。」





「食べてもええ?」





「いいよ。」





私は鞄の中から、クッキーを取り出した。






「このビニール袋可愛いよな。」






「あ、ママが通販で買ってるの。」





「へぇ、通販なんや。」






そう言いながら、一つ齧った優子ちゃんが、「やっぱり美味しい。」って、頷くから、恥ずかしいけど、嬉しかった。





「作ったかいあるよ。ありがとう。」






「ホンマに、めっちゃ美味しいんやもん。

ピスタチオ入ってるん、このクッキー?」






裕子ちゃんがクッキーをモグモグ食べながら、もう一つを手に持った。






「うん。
ピスタチオのと、ココナッツの二種類だよ。」






「ナッツ系のクッキーって美味しいよね。」






裕子ちゃんと私の会話にいつのまにか傍に来ていた沙穂ちゃんが手をパチンと叩いた。






「そうや、今度、4人で、なんか作らへん?」






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