冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
†
「着いたぞ」
男は車を止め、私の方を向いた。
黒い髪に、切れ長の黒い目が印象的な、綺麗な顔立ちの男。
「降りろ」
そう、男は言ったけど
そこが私のうちじゃないのは確かだった。
着く前に大きな門をくぐり、どこかの屋敷の様な場所だったからー。
「早く降りろ」
私は、首を横に思い切り振る。
ガタガタと体は相変わらず震えていて、降りようにも、降りられる様な状態ではなかった。
チ、と男は軽く舌打ちをすると、
男は外から助手席のドアを開け、助手席の私の腕を引っ張った。
「やっ…」
私の声は小さく響いただけで、夜の闇に消える。