冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

ー紘夜ー


  †


彩り豊かな傘の色に俺の黒い姿は紛れ、

雨音が消音器〝サイレンサー〟付きの微かな銃声を消し去り、

雨の匂いが硝煙の匂いを消し去り、



雨が、

流れた血を、洗い流してくれる。



いや、
流れた血は、


罪は、

消えやしない。



どんな雨でもーー。




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