冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
紘夜様は26歳。
確かに縁談の話は多い様だ。
だが、
〝本家〟の言葉が出ると、紘夜様の表情は曇る。
〝本家〟との関係を考えると、
仕方がない事かもしれないが、
紘夜様の事が心配になってしまう。
「そんな顔をするな、静音。俺は大丈夫だ」
紘夜様に心情を見抜かれ、さとされてしまう。
そんなに、顔に出ていたのだろうか…
こんな事ではダメだと、身を引き締める。
紘夜様に仕えるものとして、しっかりしなくては。