ほら、笑って笑って
そして隼人さんの言った通り、あれから常務とは何もない。


何度か会社ですれ違ったけれど、慌てて私から目を逸らす。




そりゃそうだよね。

義理の弟の知り合いだなんて、勘違いしてる訳だし。
ましてキスシーンを見られて。


もう二度と、私に手を出そうとはしないだろう。





そして私も。

実際のところ常務の事なんて、頭の片隅に追いやっていた。




気になるのは、
やっぱり……隼人さん。




罵られるかもしれない。

呆れるかもしれない。


あんな社交辞令を真に受けたの?
って、笑われるかもしれない。




でも、どうしても会いたくて。

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