水とコーヒー
#8
「それじゃ、ごちそうさまでした。まぁ土日はゆっくり休んでね。本調子にはほど遠いでしょうから」

「本当に、今日はありがとうございました」

「いいのよー。最初に声かけたのはあたしなんだし、しっかりごちそうになったしね」

「おろした分の十分の一でしたよ(笑)」

「あはは!そんなに高いものも食べないし、そんなに大食いでもないってば!」

「ええ、助かりました」

軽口を叩きながらシートベルトを外す。僕のアパート前に先輩のオレンジ色の軽が停まったとき、時間は既に夜の4時を大きく回っていた。はるか遠くの夜空が白みがかっている。

あれからしばらくの間、また色々な話をした。例えば一度帰ってシャワーを浴びてから待ち合わせた理由だとか、あの国道沿いのファミレスを選んだ理由だとか。

まぁそれは別の話だが、その間先輩はコーヒーと水には一切手をつけず、それは帰るまでそのまま放置されていた。
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