Au Revoir―再会―
「――不幸だよ。散々だ」
「えっ、不幸って。どうして?謙は幸せじゃない!自分の研究のために渡米して、その実績が評価されて、今じゃ国内、いや世界的にも有名なスーパードクターだもん」
「そんなの大したことないよ!俺みたいな医者は世の中に腐るほどいる」
「そんなことないよ!この前だって、ドキュメンタリー番組で取り上げられてたじゃん。『脳外科医学界では、奥平謙の右に出る者はいない』って、」
そうよ!今では、脳外科医として敏腕を振るっている目の前の男は、若くして難しいとされている大脳小脳解離手術など、国内でのオペ数でも群を抜いている。
名実ともに、トップクラスだ。
少なくとも、あたしよりは幸せだろう。
「若菜と別れて、お前も俺から離れて、気付いたら7年も経ってたよ」