Au Revoir―再会―
「そんなぁ…」
若菜……。あたしのお姉ちゃん。
謙より二つ下で、あたしより五つ上。
色白で華奢で、男なら誰もが守ってあげたくなるタイプだ。
一方、謙もチャラチャラしていなくて、清潔感のある爽やかな医大生で両親のお気に入りだった。
お姉ちゃんと謙は学生時代から付き合っていて、よく家にも遊びに来ていたんだ。
まだ中学生だったあたしは、すごくお似合いの二人に憧れていた。
謙には苦手な数学を教えてもらっていた。
学校の先生だとちんぷんかんぷんな数学が、謙に教わると、面白いように分かるから嬉しくて。
成績はぐんぐん上昇。
お姉ちゃんも『遠慮せずに教えてもらってね』なんて言ってくれた。
中学生のあたしにとって大学生の謙は、頼れるお兄ちゃんのような“近い大人”の存在だった。
いつしか、あたしは謙に憧れを抱くようになっていたんだ。