Au Revoir―再会―
「疲れた体をマッサージしてくれよ」
ち、ち、近い。近いよ、謙。
謙の顔が、すぐ目の前にある。
ジャリっと砂の音がした。
また一歩、二人の距離が縮まった。
さらに一歩、謙は進むと体を小さく丸めた。
額と額とがつけられ、トクン、と心臓が飛び跳ねた。
キス、されるかと思った。
あたしは何を期待しているんだろう。
「キスしたかった?」
「えっ、まさか!何、その俺様発言は!」
「俺様?俺は俺様になりたくてもなれないよ。七海に弱いからさ。七海に嫌われたくないからな」
「そんな……」
「――ねぇ、キスしてもいい?」
謙の真っ直ぐな瞳が、あたしを見つめる。
「ちょっと…ま…」
言い終わらないうちに、優しいキスの雨が降り落とされた。
満天の星空とともに――。
《完》