喪失
残景、睦月
その日は、寒い日だった。

まるで絵の具で塗り潰したように均一な白い空は、全く同じ色の粉雪を降らせていた。

風に吹かれて舞う今年初めての雪は、地面に落ちればただの水になってしまうくらいの出来損ないで。

まるで俺みたいだ、なんて思った。

家に帰ると知らされたのは、最悪の知らせ。

昨日まで笑ってたのに。

大丈夫だって言ってたのに。

看取ることさえ出来なかった、ドラマみたいに上手いことなんていかなかった。

いくはずなかった、脇役にすらなりきれないレベルの俺なんだから。

最後まで一緒にすら、いられなかった。

病院で見た彼女の脱け殻には、何も感じることが出来なかった。

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