私の小さな物語
どうして家と言わないのか。
高梨はそれを尋ねることはなく、
ただ黙ってあたしを立ち上がらせた。
「歩ける?」
「……ん」
表面上はまだ余裕を保ってるけど、
やっぱり体は言うコトを利かない。
フラフラして立っていられないし、
目の前がぐるぐる回って見える。
気持ち悪い……
ずっとしゃがんでたからかな。
「ほら、おぶってやるから乗って」
「え、でも」
「いいから。どうせ夜だから誰も見てないよ」