謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

③ ビッグ・ビジネス

次の日、拓也は木村のオフィスに行った。
昨日の仕事の結果が気になっていた。

あれから本当に何事もなく依頼人の男と婚約者は、仲を取り戻したのか少し不安になっていた。

拓也は、顔だけを覗きこむようにオフィスのドアを開けた。

木村は、デスクに座って電話をしている。

電話の途中で木村が、拓也の顔を見るなり話ながら右手で手招きをする。
中に入って来るようにというジェスチャーだった。

拓也は、オフィスのドアの近くに立った。

「おはようございます」
電話を終えた木村が、拓也に声をかけた。

「おはようございます」
拓也は、会釈程度の挨拶をした。


「先ほど、昨日の依頼人の方から電話がありました」

「えっ！　何か言っていました？　」
拓也は、身を乗り出すように木村に近づく。