俺の特別な生徒。
少なくともそれを恋という形にはしたくないと俺は思っている。

俺は馬鹿教師にはなりたくない。
わざわざ10歳年下の生徒に手を出すより、そこら辺の女に手を出す方がよっぽどいい。

俺は鳴瀬に対するこのわけの分からない気持ちを、早く消し去りたかった。

チャイムが鳴り、鳴瀬も矢部もそれぞれ席に着く。
鳴瀬と離れられた事で、俺は少し安心していた。

でも結局この日は鳴瀬から目を放すことは出来なかった。

目を動かすたびに視界に鳴瀬が入り込んできた。


いや、違う。
俺が入れていたんだ。

俺が俺の意思で、鳴瀬を見ていたんだ―――。

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