さくら ―余命3年の恋―
…いや、そうでもないかもしれない。
だって、私には絵があるから。
「千秋だって喘息が治まれば、普通の中学生になれるよ」
「お姉ちゃん、中学って楽しかった?」
「………うん、たぶんね」
「“たぶん”って何よ~」
───そう、“たぶん”。
たぶん、楽しかった。
だけど、たぶん、楽しくなかった。
璃子と出逢えたのが中学での一番嬉しかった思い出。
それ以外には、目立っていい思い出もない。
地味な私には“絡みにくいから”とあまり友達がいなかった。