僕とあの子の放課後勝負

葵は、幼なじみの女の子だ。フルネームは西条葵。愛想も良くて、人気者。僕と全く正反対。僕と言えば、と学年でアンケートしたら、きっとこんな答えが返ってくるだろう。「知らない」、「影が薄い」、「愛想笑いする」。ついでに言うと頭の良さは葵と張り合える程度だ。いつも賭けしては、大抵僕が負ける。

「ユウくーん!遅いよ、もう!」
「葵が勝手に待ってるんじゃないか」
「私が待たなきゃ、帰宅は一人でしょ?」
「いいよ、別に」

ふて腐れた顔をした彼女は、ほんの少し、可愛かった。


葵と京平と僕と、雨蛙。奇妙な組み合わせだけど、僕らにとってはこれが普通。
葵は小壜に雨蛙を入れて、いつも持ち歩いている。世話はしているし温度調節もしている、「飴太」なんて名前まで付けている。だけど…少し不憫だな、雨蛙。

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