年下の悪魔
うわぁ、やっぱり慣れない。

涼君と両思いだなんて響き、嬉しくて恥ずかしい。

涼君本人から言われた訳じゃないのに、こんなにドキドキするもんなのかな?


ニヤけを抑え枕に顔を埋めて、声にならない声を我慢した。

恋って不思議。

何でこんな挙動不審になるんだろう。

でも


不思議と嫌じゃない。





その日、私の退院祝いと銘打って久しぶりに家族で出かけた。

って言っても、私の仕事先のお店なんだけど。

一応お店のみんなも回帰祝いをしてくれるらしい。

っていうか、私の胃を気遣ってか炒飯から餃子に至るまで全部薄味なんですけど…。

薄味の中華なんて聞いた事ないよ。



でも、久しぶりの家族水入らずなのに、さっきから携帯を気にしてる自分が信じられない。

食欲もないし。


今になって恋の初期症状。

携帯の着信ランプが光る度にドキッとしたけど

涼君からの着信音じゃないとわかるとがっかりしてしまう。


「はぁー…」

「ところで、ゆいちゃん、今後の仕事の事なんだけど?」

「あ、はい!」

さすがに退院したて。

最低でも一週間くらいは休みをくれる「7月の5日、入れる?」

訳ないよね、このお店が…。

「5日に団体さんの予約が入っちゃって。完全に人手不足でさぁ。お願い出来ないかな?」


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