【花集】恋の打ち上げ花火
「マキ、ソロソロゲンカイ。ハラペコ」

気が付くと、目の前に水の滴るジウさんの顔があった。

「ハラペコ? って、ジウさんどこで習ったの?」

「タク、ト、ソウ」

「「姉ちゃ~ん、はらぺこぺこだよ~」」

プールから琢磨と走磨がヨロヨロと上がってきた。

「わかったよ~ ほら、上がって、着替えて、お昼にしよう!」

「オヒル? ショクジナニタベル?」

「あ、ジウさんの分もお弁当作ってきましたよ。一緒に食べましょう!」

「ベントウ……ア……ランチボックス。グレイト。マキ、ヤッパリオモニネ」

ジウさんは、前歯の一本抜けた真っ白い歯を見せて、優しく笑った。

「「姉ちゃん、ちゃんとタコウィンナーもってきた?」」

「もち、忘れる訳ないよ」

双子はタコウィンナーが大好物なのだ。

「タコウィンナー? オクトパス?」

「あ、つまりね、その……蛸に似せて足を付けたウィンナーソーセージのこと。食べて見ればわかりますよ」

「オッケー、タノシミ。タク、ソウ、イソゲ、オレハラペコ」

双子を急きたてて、ジウさんが更衣室に消えていった。
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