RUN&GUN
だが男は、荒い息の下からも、必死で言う。

「お、俺たちだって、信じられねぇよ。けど、主(あるじ)の命令は絶対だ・・・・・・。馬鹿らしい依頼でも、相手はただの職人だし、簡単に済むと思ってた。けどあの野郎は、職人のわりにゃ腕は立つし、おまけにおかしな邪魔も入りくさる・・・・・・」

「似たような状況ってことか」

憎々しげに見上げる男の視線を受け流し、与一は呟いた。

「御珠ってのは、どんなもんなんだ」

目を落とした与一に、男は僅かに首を振った。

「知らねぇ・・・・・・。主も、ものは見たことねぇんだと思う。だが、下駄屋にあるのは確実だから・・・・・・」

「ったく、役に立たねぇ情報ばっかだな。じゃあお前らは、どっから御珠の情報を得たんだ。主って、誰だい?」

男の瞳が、不規則に泳いだ。
さすがにそこまでぺらぺらと喋るわけにはいかないと思っているようだ。

が、藍は横から非情にも、小太刀にかけた足に力を入れる。
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