RUN&GUN
「寝なさいって」

「座ったままでも、いいでしょう」

「駄目! さっさと寝ないと、あぐらの足の上に乗るわよ」

微妙な脅しに、与一はしぶしぶ横になった。
藍は遠慮無く与一の小袖の紐を解き、身体に巻き付いたサラシの状態を見る。

「あっ、しまった。寝る前に、サラシを解かなきゃだわね」

幸いサラシにも、血は滲んでいない。
与一は起き上がろうとして、途中まで上体を起こし、ぴたりと止まった。

「・・・・・・藍さん。少し向こうに行ってくださいよ」

藍は与一の腰の辺りに乗っている。
このまま起き上がれば、藍に抱きつくかたちになるのだ。

「いいじゃないの。さぁさぁ」

藍はにこにこと、両手を広げて見せる。

「そんなに近づいてちゃ、サラシ解けませんよ」

言いながら与一も遠慮無く、藍の小さな額を軽く掴むようにして押しのけた。
にゃあぁ、と藍が、不満そうに鳴きながらも、少しだけ後ろに下がる。
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