RUN&GUN
「ね、阿国屋の旦那って? お知り合いなの?」
藍がお蓉を覗き込みながら問う。
お蓉は俯き、膝の上で手をぎゅっと握った。
「反物街に新しくできた、お店の旦那さんです。若くて独身だから、一時期わたくしとの縁談が持ち上がったかたなのですが・・・・・・」
そういえば、前に辰巳のところで、三郎太がそんなことを言っていたな、と思い、与一は何気なく三郎太の去った廊下のほうに目をやった。
と、廊下をどやどやと騒ぐ声が近づいてくる。
「お、おやめください。どうぞ、向こうにお部屋を用意しますので、そちらでお待ちを」
「いくら阿国屋様でも、このように無体な真似は、許されませぬ」
明らかに慌てている朔太郎と、怒り心頭といったような三郎太の声に交じって、若い男の笑い声が聞こえる。
どうやら阿国屋の旦那とやらが、無理矢理お蓉に会いに来たらしい。
「お蓉さん。あんたぁ、その縁談は、乗り気なのかい? 三郎太のことは置いといて、家のために、阿国屋に嫁がにゃならんこともあろう。破談にしたら、まずいのか?」
与一が片膝を立て、お蓉に素早く問うたことに、お蓉は束の間考えたが、すぐにぶんぶんと首を振った。
「わ、わたくしは、縁談がきた時点で、お断りしました。確かに初め、両親は乗り気でした。でも、わたくしが嫌がるのと、阿国屋の実績というか・・・・・・まだできて間もない店なものですし、反物街は入れ替わりの激しいところですから、今景気が良くても、すぐに潰れてしまうことも珍しくありませんから。両親も、考え直してくれたと思います」
藍がお蓉を覗き込みながら問う。
お蓉は俯き、膝の上で手をぎゅっと握った。
「反物街に新しくできた、お店の旦那さんです。若くて独身だから、一時期わたくしとの縁談が持ち上がったかたなのですが・・・・・・」
そういえば、前に辰巳のところで、三郎太がそんなことを言っていたな、と思い、与一は何気なく三郎太の去った廊下のほうに目をやった。
と、廊下をどやどやと騒ぐ声が近づいてくる。
「お、おやめください。どうぞ、向こうにお部屋を用意しますので、そちらでお待ちを」
「いくら阿国屋様でも、このように無体な真似は、許されませぬ」
明らかに慌てている朔太郎と、怒り心頭といったような三郎太の声に交じって、若い男の笑い声が聞こえる。
どうやら阿国屋の旦那とやらが、無理矢理お蓉に会いに来たらしい。
「お蓉さん。あんたぁ、その縁談は、乗り気なのかい? 三郎太のことは置いといて、家のために、阿国屋に嫁がにゃならんこともあろう。破談にしたら、まずいのか?」
与一が片膝を立て、お蓉に素早く問うたことに、お蓉は束の間考えたが、すぐにぶんぶんと首を振った。
「わ、わたくしは、縁談がきた時点で、お断りしました。確かに初め、両親は乗り気でした。でも、わたくしが嫌がるのと、阿国屋の実績というか・・・・・・まだできて間もない店なものですし、反物街は入れ替わりの激しいところですから、今景気が良くても、すぐに潰れてしまうことも珍しくありませんから。両親も、考え直してくれたと思います」