RUN&GUN
「ふうや?」

「あいつ、あたしには風弥って名乗ったわ。そういえば、もしお蓉さんが風弥との縁談を受け入れたら、お蓉さんも、お福さんと同じ目に遭ってたってことなのかしらね」

衆道者の旦那を持ち、相手にされず悶々と日々を過ごす新妻。

「衆道者でも、女の相手もできる奴もいるみたいですよ。陰間も、女に買われることもあるみたいですし。あいつは見てくれも良いし、お福さんよりも随分ましなんじゃないですか?」

あくまで風弥の仕事が、阿国屋の若旦那・風之介の場合の話だが。
だが藍は、べろんと舌を出した。

「いくら見てくれが良くったって、男ともいちゃいちゃできるような奴は嫌だわ。自分にしてるのと同じ事を、男にもしてるなんて、考えただけでもぞっとする。ま、あいつの見てくれなんて、よいっちゃんの足元にも及ばないけど」

ふん、と盛大に鼻を鳴らす藍に、与一はただ、藍さんの趣味はわからんな、と思っただけだった。

「とにかく、俺は辰巳のところに行ってきますよ。藍さんは、どうします?」

「近くに潜んでおくわ。よいっちゃんに危機が訪れたら、遠慮無く飛び込むから」

頷き、与一は路地を出た。
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