反芻
アドルフ
なんとなく、昔、好きだった人のことを思い出していた。

その人は実像は置き去りに悪名の方が轟いている、名前を知らぬ人のほうが少ないであろう人物。

彼には妻がいて、権力者の常として他にもたくさんの妾と呼ぶべき存在を抱えていた。

ただ、特殊だったのは、その人は同じ男しか愛せなかったということ。

それを隠すかのように、自分と同じ性癖のものを迫害し、撲滅した。

無論、自分が愛すべき対象は除いて。
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