向日葵の種


一瞬の躊躇いは、ホームに入ってきた下り電車で掻き消された。


中野の手を振り払うと、僕は背を向ける。


「ほら、電車が着た。早く乗車して帰りなさい」

「先生!!先生!!」


僕は必死に呼びかける中野ちこの声を痛いほど浴び、駅を出たのだった。
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