ふぞろいな三角たち
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「ぎゃは!?なによそれ!
男に間違えられて、痴漢にあったって??」


学校について、レスリング部の更衣室に入ってから、先に来ていた友人の美優にさっきあった事を話すと、下品な声を上げて大笑いされてしまった。



ちゅーか、声がデカイよ!?
隣の男子更衣室にまで届いちゃうじゃん。



「我ながら、凹むよ…いろんな意味で…」



しょんぼりとしながら、手早に着替えを済ませると、美優は首にタオルを巻きながら私の肩を思いっきり叩いた。



「レスリング女子の、オリンピック候補にまで選ばれた猪熊麗ちゃんが、まさか痴漢ごときに何もできないとはね。」

何のためにやってんのよってまた鼻で笑われたけど、そうだよ、私は強くなりたくてレスリングをずっと続けていたんじゃない。



それがこのざまなんて、情けない…






私は、なんだかんだとなにげに美優に慰めてもらいながら、体育館の練習場に向かった。
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