ふぞろいな三角たち
「いつき…」


私は涙目になりながら、電車から降りたとたん樹のか細い腕にすがり付いてしまった。




初めて知らない男の人に触られた

樹以外の男の人に



それが怖くて怖くて

私もこんな、女々しいところがあったんだと、我ながら情けなくも思ったりして。







「どうしたんだよ、麗。」

私の顔を覗き込んで、いつものように優しくそういってくれる樹の顔を見ていたら、少しだけ落ち着いてきた。




「痴漢にあったっぽい…」




なんとなく曖昧に言ったのは、やっぱり私の勘違いだったかも?なんて思ったりもしたから。

だってあの時、「まさか、女?」って、疑問形で言われたんだよ!?

男だと思って触ってきたってことじゃん!!



なんだかそれもまた、情けなくて




「だから、大丈夫じゃないって言ったでしょ!
もう、明日からは、ちゃんと女性専用車両に乗りなよ!

麗に触っていいのは、僕だけなんだから。」






って、なんか意味深なこといわれたような気がするんですけど??



真剣に怒ってくれている樹を見ていたら、男と間違われて触られたなんて言えなくなってしまった。
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