出会い・白輝伝

再会

あれから月日が経ち
毎日響き渡るニ太の泣き
声が聞こえる宮継家。

人との生活に慣れ少々
わがままになった弟を
叱る一太の声も聞こえる。

花と名付けられ妹は
すくすく育ち絖守に
抱っこをせがむ
甘えん坊になっていた。


その日三人は絖守達に
連れられ屋敷裏に来ていた。

そこには切り落とされた
あの楓の枝が大地に
しっかり根を張り生きていた。

まだ折れそうな細木の
根元に薄紫色の球体を
二太が置き絖守が、玉の
表面に軽く触れる
と玉は弾けた。

霧散した薄紫色の気は
若木の根元・枝や表皮
に吸い込まれた。

洸が進み出て楓の細枝に
触れながら楠木を呼ぶ。

「楠木…我に力を」

瞬時・昼の陽より眩しい
光が、足元から溢れ
洸と楓の若木を包む。

「老…おりますか」

白蛇が楓に問い掛けると
若木の前に薄紫の衣を
着たかむろ頭の
少年が姿を現した。

ゆっくり瞼を開け周りを
見回し子供達の姿
を見つけほほ笑む。
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