鬼殺し
その日、二人は夜遅くまで特訓と称して練習に打ち込んだ。

ただ、その時の仁史は涼子と二人きりの時間を、必死に引き延ばしていたかった。

それから数ヵ月後――――


「仁史、オケ辞めるの?」

「うん、これから大学の授業にもあまり顔を出せなくなるかもしれない」

仁史の部屋で涼子の手製の料理。見慣れてきたその光景の中で仁史は涼子に告白した。

「俺、やってみようと思うんだ」

「そっか……わかった」

涼子が微笑むのを見て、仁史は安堵の溜息を漏らした。

これから会う時間も少なくなるかもしれないのに……

その健気な笑顔が愛しくて、仁史はそっと彼女の頬に自分の頬を摺り寄せた。
< 25 / 74 >

この作品をシェア

pagetop