隠れ鬼ごっこ
◆復讐
タイムリミットは拓海があの子達を見つけるまで。

―間に合ってくれ―

そう願いながら走った。

「拓海ー!?」

「いるなら返事してくれ!!」

「拓海くんー!」

俺たちは鬼に見つからないように小さな声で拓海を探した。

でも、全然見つからない。

まず、何処に居たか分からない。

くそ…何処だよ、拓海!?

暫く辺りを探した。

「ハァ…拓海、何処…?」

雅明が息を切らしながら、呟いた。


麻里もきつそうだ。


「くそ……。少しペースが早かったな…。ここで、鬼に会って逃げられなかったら意味がない。少しゆっくり行こう」

「えっ?でも…」

「でもじゃない。俺等まで死んだらどうするんだ。今、この体力で鬼と遭遇したら…間違えなく、女の子である麻里は捕まる。下手したらお前と俺も殺られる。そんなの、意味がないだろう?」

「あっ…」

俺の言葉に、雅明はハッとした。

そう。今の俺等では本当に全滅してしまうだろう。

そんなのは本末転倒だ。

「……そうだね。それは避けないと」

「だろ?だから、少しペースを下げる」

「…そうですね。絶対に…生き残りましょうね」

麻里はそう言うと、微笑んだ。

俺たちも微笑み返す。

その時だった。


――きゃああぁぁぁ!!!

「!?」

耳をつんざすような悲鳴が聞こえてきた。

「この声の大きさ…近くからだ!」

「行くぞ!」

俺達はまた駆け出した。

悲鳴が聞こえた方角へと。
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