隠れ鬼ごっこ
「で?何処を探すんだよ?」


俺の後ろをついて来ている文太が尋ねてくる。


「図書室に行こうと思う。それと資料室。…そこに大体過去の新聞とかあるだろ?何かあったならきっと記録があるはずだ」


「それか職員は日々日誌って書いてるからな。その記録でもいい」と付け加える。


「了解。しかし…場所は何処なんだか。色々見てたつもりだが……」


そこは俺にも分からないところだった。歩き回って探す他ないがそうすると鬼に見つかる確率が高くなる。それは避けたい部分ではあるが…やむを得ないか。


「ここから1番近いところは…図書室かな」


意を決して歩き回る事を考えていた俺の耳に欲しがっていた答えが飛び込んできた。


「え?分かるの?」


真里も驚いたように聞くと奈緒は顎の下に人差し指を添えて考えるような仕草をしながら答えた。


「うん。頭の中にある程度地図は入ってるよ」


「たまたま校内の案内図を見つけたんだよね」と自信ありげにこちらを向いた。


「ナイス!よく覚えてるな!MVPだ!」

文太が親指を立てて笑うと「図形得意なんだ。地図は一度見たら大体覚えられるのが特技の1つなの」と同じポーズをし返した。


「それは助かるな。行きたい場所は図書室、資料室…一応職員室なんだが部屋の配置はどうなってる?」


「図書室は近くて資料室と職員室は3階の向かい同士だったはず」


「分かった。じゃあ悪いが時間がない。二手に分かれて探そう。2人は図書室を、俺と文太で資料室、職員室を見てきたい」


我ながら無謀すぎる提案だとは思ったが時間がないのは全員が分かっていたことらしい。快諾ではないが了解を得ることができた。


「そうだ。何かあった時の為に互いの連絡先交換しておかない?」


奈緒が携帯を取り出しながら提案してきた。


「そうだな。えーっと……」


「お互いの携帯を近くで振ると連絡先が届くはずです」


そういった最新のやり方を知らない俺らに変わって真里が説明をしてくれる。


「…アンタらそれでよくこの時代をやっていけたわね」と半ば呆れるように奈緒は呟いた。


「すまんな。花のない男子高校生なんてこんなもんだ」


過剰に振り回す文太を尻目に軽く振りながら答える。……お。本当に交換できた。少し知らないだけでどんどん便利になっているもんだと爺さんみたいな事を思いながら電話帳に2人の連絡先を入れた。


「おし!これで良いな。んじゃ俺らは先に行くよ。」


「うん。何かあったら連絡し合おうね」


「お二人とも気をつけて」


「あぁ」


こうして俺らは分かれて行動することになった。


…待ってろ雅明。きっと止めて見せるからな。着々と進む時間に焦りを覚えながら俺らは早歩きで目的の場所まで進んでいった。




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