ナルシスト王子と<美しい>鏡
「老婆よ、お前はどんな美しいものを持ってきたのだ」
「私が持ってきたのはこの鏡でございます」老婆は布を外し、美しい装飾のされた薄汚れた姿見を出した
「ほう、この鏡のどこが<美しい>のだ?」
「スラク王子様、この鏡は<美しく>はありません」
スラク王子は立ち上がり叫んだ
「なんだと!?俺は<美しい>ものを持って来いと言ったはずだ」
「私が持ってきたのは美しいものではありません、しかし、この鏡は特別な鏡でございます」
「特別な鏡だと?」
「はい、そうでございます、この鏡は本当に<美しい>ものしか映らない鏡なのです」
「ほう、そうなのか」
スラク王子は鏡に興味を持ち近づき、鏡を覗いた
すると
スラク王子の顔だけが映っていた
「なぜ、私の顔だけしか映っていないのだ?」
「スラク王子様の顔は<美しい>けれど、着ている服、部屋、家具が<美しくない>から映らないのです」
「そうなのか?」
「そうなのです、つまり、王子様は<美しくない>服を着ており、<美しくない>部屋で生活をしていて、<美しくない>家具に囲まれていることになります、王子様はそれでいいのですか?」
「嫌だ、私は<美しい>私にふさわしい<美しい>服、部屋、家具が欲しい!どうすればいいのだ?」
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