秋桜が散る前に
「ごめんなさい…」
「謝んなくてもいいよ。ほんとは、もっと早く言うつもりだった。だけど、サクラさん、辛そうだったから。」
私達は教会の庭にある箱ブランコの中で向き合って座っていた。
私がそうしたいと言った。
庭は墓地の目と鼻の先にあるから。
奏太くんが近くにいる気がして、落ち着ける。
「奏太は、親友だった。俺達はなんでも気が合って、なんでも話せた。」
「始めて聞いた…そんなこと。」
奏太くんは孤児院であまり学校の話はしなかった。
そのかわり、私や兄弟達のことをよく聞き出そうとしていた。
いじめにあっていないのか。
ちゃんと給食を残さずに食べているか。
勉強はどうだ。
「奏太くん、人の心配ばかりで、自分の事ちっとも考えてなかったから、こうなったんだ。」
「…サクラさん、奏太は意外と、自分の事しか考えない奴だったぜ?」
「え…?」
「つまり、すべて自分の為だったって事。」
なにそれ。意味分かんない。