隣の席の君は…


何だかモヤモヤした気持ちで席に着く。
私の席は真ん中の列の一番後ろ。

新学期は、席が出席番号と決まってる。
私は『中川美羽』だから…

隣の席は、苗字が『な行』の『中原恭平』だ。


溜め息が出る。

実は中学校の3年間、ずっと恭平と同じクラスだった。

よって1学期の間はずっと恭平の隣の席だった。

どういう偶然か又隣の席である。

恭平の隣になるのは嫌じゃないけど、この席は女子の視線が痛い。

しかも恭平が話し掛けてきたりしたら、殺されるんじゃないかと思うくらい、恐ろしい顔で女子全員が睨んでくる。

つまり、私にしてみれば良い迷惑。


机に突っ伏して、そんなことを考えていた。


コンコン

誰かが机を叩いた。
そっと顔をあげる。
隣の恭平が微笑む。
私とは正反対な、明るい笑顔をしている。


「よっ!
腐れ縁だなぁ(笑)」

先生にも周りの子にも、聞こえないくらいの声で…

私だけに聞こえる声で囁く。


「そうだね…」

同じように囁く。

恭平は私のコトを気にかけてか、話し掛けるときは、周りに聞こえないようにする。


そんな彼の優しさに…
胸がキュンとするのは秘密だ。


「また色々世話になるわ!
よろしくな美羽♪」

私は周りの視線を感じないと分かり、微笑み

「こちらこそ♪」

と返した。


中学時代からの腐れ縁のため、私は他の女子より恭平と仲がイイ。


恭平はよく私に、女心について相談する。


恭平は告ってきた可愛い子とは、必ず付き合う。
飽きたら振ってしまうから、タラシと嫌われるコトもしばしば…

でも、恭平は一応見定めて、イイ噂を聞かない女子とは付き合わない。
たとえ、学校1の美女だとしても…


それが私の恭平と仲良くする理由。

ただの、
来るもの拒まず去る者追わず
なタラシだったら、
女子全員に睨まれるという、リスクをおってまで話さない。
まぁ
睨まれるのはいい気分がしないので、この席は微妙…
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