ココロ-タスケテ、ダレカ-



「……何で黙るんですか?先生知ってたんですか?!」


町田先生は軽く頷いた。


「すいませんでした。冗談だと思って突き返してしまったんです、」


美和江は椅子から立ち上がり、町田先生の胸ぐらに掴みかかった。


「知ってて何もしてくれなかったんですか?!」


町田先生は黙り込む。


「私には、私には陸しか子供が居ないの!!あの子しか家族が居ないの!!あの子が居なくなったら私はどうすればいいのよ!!」


すると近くを通りかかった看護師に止められた。



「落ち着いてください!!」


「返してよ!!娘を返して!!」


美和江は胸ぐらから手を離し、泣き崩れた。


美和江は涙を啜り、


「……あなたの顔を、もう見たくない。帰ってもらえませんか?」


と睨み付けた。


町田先生は会釈をして、静かにその場をあとにした。


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