恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-
「凛は、俺に似ている気がする。最初に会った時に思った」
「どこが?」
「どこだろう。今の俺に似ているのかな。今年の夏がもう二度と戻らないことをお前は知ってる。だから、切ない顔して空を見上げてる。一瞬一瞬を大事にしてるっていうか」
時々、急に涙が出る。
朝、家を出た時。
コートに水をまいている時。
鉄平が笑った時。
どうしてだろうと思っていたけど、私は去年よりも大人になっていたんだね。
「みんなの中では普通の中学生の顔してるけど、中身は他の子よりもずっと大人だと思う。俺のこんな話を理解できるのも凛だけだと思うよ」
「そうかなぁ?私子供だよ。みんな彼氏とかいるし」
「そういう意味じゃないんだよ。彼氏がいるから大人ってわけじゃない。何が大事かちゃんとわかっているから、凛は大人なんだよ。好きでもないのに彼氏が欲しくて付き合っている子も大勢いる。でも、お前は絶対にそういうのできないタイプだろ?」