☆オカマに恋した☆





 イジメを苦にしてなのか、家族間のトラブルからなのか、失恋なのか、自殺未遂の理由はわからない。




見ているこっちまでもが、悲しくなってしまう。





 警備員に連れられ、靴を履くというよりは、足に引っ掛けるようにして、フラフラと彼は立ち上がり去って行った。




男の子とは思えないどの、華奢な後ろ姿は夕日に溶け込んでしまいそうだった。





 その後ろ姿が、目に焼き付いて離れなかった。



どうしても描きたい衝動にかられ、私はその場に座りスケッチした。




子供のころから、スケッチブックと鉛筆を必ず持ち歩いている。




その時感じたことを、そのまま残しておきたかった。





 それからというもののなぜか、彼のことが気になって仕方なかった。




彼はあの後、どうなったんだろう?




ちゃんと、生きているのかな?




何度あのデパートの屋上へ行っても、彼に会うことはなかった。




街を歩いていても、どこか彼を探してしまう自分がいた。




女装した変態な男の子なのに。




どうかしてるよな。
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