Genius~守り人~
キィ…

小さなきしみの音を立てて扉は閉まる。

「來は上に上がって先に列火さんと合流してて。
私達の試合で午前は終わるはずだから。」

扉が閉まると草火は來に向き直る。

「はい。」

來も草火を見上げる。

「また後でね。」

草火は向きを変えて歩き出す。





その時何かが來の胸をよぎった。

それはイヤな予感とそれに対する不安


予感が示すものはわからない


だけど




「草火さん!」



來は自分でも気づかないうちに草火を呼び止め彼女の腕を掴んでいた。

「どうしたの?」


少し驚き首を傾げる。

「あっ…いや、その…」

草火から手を離し下を向く。


― どうして?
いつもならこんな事…


「來?」

再び草火が声をかける。


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