ALLY
「昨日だって、雨の中。あんなに濡れてまで」
「うん。
でもコウ心配してくれたよ。」
馬鹿じゃねぇの、この女。
「そんなに好きなんすか?」
「え?……うん。」
歯切りの悪い答えを聞いて少し驚いた。
「あ、名前何ていうの?」
突然そう尋ねられてまた驚いた。
「沢田。」
「下は?」
「タク。」
「タク君か。
よろしくね、タク君。」
名前を呼んでもらえた。
それだけなのに何でこんなに嬉しいのだろう。