べガとアルタイルの軌跡
≪5年前≫
「毎年、おまえら2人だけ仕事で、申し訳無いなぁ」

閉店してレジを閉め、事務所へ行ったら、店長が私達にそう言ってきた。



「いいんです。この日はお店も暇なんで、逆に楽してバイト代もらえて、ラッキーです」

私は笑顔でそう答えた。



ここは個人経営の小さなスーパー。

そして、今日は8月5日。

そう、仙台七夕花火祭の日。



いくら花火大会に行く人が多い、と言っても、お店に来るお客様は居る為、誰かは出勤しなければいけない。

でも、夜は学生バイトと店長か副店長だけで、いつもこの日は花火大会に行きたがって、5〜6人居るバイトのほとんどが休み希望を出す。

私はそれまで、ほとんど毎年見に行っていたけど、『何がなんでも見たい』と言う訳でもなかったし、希望が重なると聞いてたから、この日の希望を出さなかった。

大学に入ってからずっとここでバイトをしていて、1年目からなので……今年で3回目。



そして。



「『お店が暇』ってホントの事を言ったら、店長が傷付くだろう? ねぇ、店長?」

そっちの方が、よっぽど傷付くじゃん……と、ツッコミを入れたくなるセリフを言ったのは、同い年で同じ時期からバイトを始めた槙原くん。


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