フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
本音を知らないコマキはいたく感心した。とたん、室内にいた全員が『クスッ』と笑った。そして私はニヤリとした。ほめられて嬉しかった。
「ところで、乙女の皆さんからは大好評ですが、先生達からは不評ですね」
「そうなんです!おかげで二時間目の授業が終わったところで生徒指導の杉山先生に呼び出されてコッテリ叱られました。『お前のせいで勇太・レイシーに何かあったらどうする?学校に何かあったらどうする?責任取れるのか?』って」
「杉山先生、ボウズ頭から湯気出していませんでしたか?」
「出していましたよ、モウモウと。頭に血が上っていますから、顔が真っ赤でゆでダコみたいでした!」
その場にいた全員が、たまらずゲラゲラと笑った。
「ああでも、この事は書かないで下さい」
「了解しました。私の心の中にそっとしまっておきます」
「よろしくお願いします」
私は再び頭を下げた。コマキも釣られるよう頭を下げた。
 この後、ブログの最終更新日、最終公開日を念のため告げ、何枚か写真を撮り取材を終えた。時間にして十分くらいだった。
 取材の記事は翌朝一番で学校の正面玄関前にある掲示板に張り出された。今回はパソコンを駆使して作られていたので、A3サイズの新聞はなかなかの出来で、珍しく人が群がっていた。まるでドラマのワンシーンのように。
 しかしこの事は、私をとても元気にしてくれた。麗ともめた一件で傷ついた心を癒してくれた。
 改めてコマキは将来良い新聞記者になると思った。

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