フェアマン~愛しい彼はハーフの男の子~
対立
 なんとか授業を終えると、鼻息も荒く麗のところへ行った。教室の中には大勢の生徒が残っていて、私達を緊張した面持ちで見ていた。
「話しがあるんだけど」
「何?あのスカした男の事以外なら聞くわよ」
「スカした男?それてヒドくない?勇太君にあやまりなさいよ!」
「待って、二人共。ここじゃみんなに迷惑がかかるから、場所替えよう」
「別にここでもいいじゃない。私がレイシーを嫌っているのは本人だって知っているんだし。わざわざ場所替えてバトルのを隠す必要なんて無いじゃない」
麗は琴美の制止を振り切り左斜め後ろへ振り向くと、勇太をニラんだ。麗の視線はすごく挑戦的だ。勇太は椅子から立ち上がると、怒っているような悲しんでいるような表情で私達を見た。いや、教室に残っているクラスメイト全員、同じだった。
「ねえ、麗ちゃん。そんな事言わないで場所を替えよう。モメているところを見るのって嫌なものだよ。みんなに迷惑だよ」
「琴美、嫌なら出て行きな。私、影でコソコソやるのとかグズグズ悩んでいるの性に合わないんだよね。ちょうどいいから、ここで決着着けるわ」
「麗ちゃん!」
「見損なったよ、麗。麗は頭良いから弱い立場の人には優しくすると思っていたのに。私の思い違いだったみたい」
「弱い立場?レイシーが?美羽、あんたレイシーの外面に芯までヤラレちゃったようね」
「そんな事ない。勇太君がちゃんとした人だから言ってるの」
「アイツラのどこが弱い立場よ。帰国子女でアメリカ人と日本人のハーフで、ちょっと美形。おまけに両親とも世界に名を馳せる大手パソコンメーカーに努めていて金持ち。そして、みんなから芸能人のように扱われている。どんだけ優遇されると思ってんのよ!」
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