亮平のおもちゃ
 医者が病室をでてきて、やっと俺たちは中に入れさせてもらった。

「特になにも障害はありませんね。このままスグに退院できるでしょう。」

「よかった。原田先生、うちメッチャ心配したんだよ。」

女子生徒の1人が涙ぐみながら言う。
俺は順平と美樹にしか連絡をしなかったけど、お人よしな美樹が、亮平ファンに連絡したんだろう。

「よかったな。意識、戻って。」

順平も、笑顔だった。

「うん…。」

「話してこいよ。」

「うん…。」

なんだか、恐かった。

「おい、亮平。心配させてんじゃねぇよ、この馬鹿野郎。」

俺は、こらえてた涙が溢れ出した。

「ばぁか!馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ~!!」

俺はうわーっと、大泣きした。

「ふっ。相馬君泣き顔メッチャ可愛いねぇ」

だれかわかんないけど、女子に馬鹿にされる。
でも、涙が止まらなかった。
本当にほっとして、嬉しかった。
一生意識が回復しなかったら…
そんな事ばかり考えていたから。

「…。誰でしたっけ?」

「…え。」

その場にいた全員が、一瞬息を呑んだ。

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