ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



佐倉の言ってることは、確実に図星で的を射ている。



当たってるからこそ、あたしはなにも言い返せないのだろうか。



せっかくワンと来たのに。



はぐれて。



花火だって、別々に見るはめになってる。



あたしがどれほど今日を楽しみにしていたか、きっと君は知らない。



今までとは、なにもかもが違う夏休み。



1人じゃない。



静かじゃない。



鈴虫の声なんて、聞こえやしない。



真冬の花火の下でした約束を、ずっと忘れないでいた。



一緒に行きたかった。



1人でしか見たことのない打ち上げ花火を、君と一緒に見上げられたら。



そう思ったのに。



ワンさえも諦めてる。



佐倉の言う通りだ。



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