ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「あたしに気なんか遣わないで、ほら行った行った!」
「いやでも…」
「ついでに茜を探してきてくれればいいからさ!ワン待たせちゃ、かわいそうでしょ」
そ、それはそーだけど。
「あたしは竜のとこにでも行ってるから、楽しんで~」
ヒラヒラと手を振る麗奈に、コートとマフラーを持たされ、半ば強引に部屋の外におい出された。
室内と言えども、上着なしではやっぱり少し冷える。
けどマフラーまでは、さすがにいらないでしょ。
そう思いながらも、コートを羽織り待ち合わせ場所の広間へと向かった。
「愛実(まなみ)どーなの、イクヤとはさ?」
「いまいち、進展なしかなぁ」
イクヤ?!
イクヤって、あの郁也のこと?
女子トイレの中から聞こえてきた会話に、思わず足を止めてしまった。
「あ、でも知り合いとか言って、他校の女の子と楽しそうに話してた」
「え、なにそれヤバくない?」
「うん。だから、嘘ついちゃった」
愛実という子は、多分昼間に郁也と一緒にいた子。
「えー嘘?なにそれ怖ーい」
「外の倉庫で、郁也が呼んでたよって」
「愛実、悪ふざけすぎるってぇ」
「だって、邪魔なんだもん」
倉庫?!
てか外?!
だから茜、もしかして帰ってこなかった?!
まだ待ってたりするんじゃ…?!